創業以来、事業そのものが環境活動 ~株式会社ダスキンの取り組み~

2009/05/27

 ここのところ、企業は単なる「削減」だけの環境活動から脱却を試みるケースが増えています。「紙・ゴミ・電気」という言葉がある通り、企業の取り組みといえば、古くは削減が中心でした。もちろん、これらはとても大切なことです。が、さらに一歩先を行く環境活動をどのように展開していくのか、知恵を絞る企業の姿を目にすることが多くなりました。
 お掃除事業からフード事業、介護関連事業まで幅広い事業を展開しているダスキンは創業以来、単なる削減にとどまらず事業そのものを「エコ」に直結させている会社です。その徹底ぶりをみると、驚かずにはいられません。
 それもそのはず、ダスキンはモップなどの掃除用具のレンタルから始まった会社です。
「創業は1963年。当時から、“レンタル”を基本とした循環型ビジネスを展開し、廃棄物削減や省資源化などの環境に負荷をかけないようにする取り組みを進めております」(ダスキン広報室)
 創業当時は今ほど、「エコ」の感覚が世の中に浸透していない時代でした。今では当たり前となった環境に配慮する活動をダスキンは会社が誕生したときから進んで実践してきたのです。従業員の隅ずみまで、「もったいない」精神が浸透し、社風そのものにモノを大切にする気持ちが強く表れています。

■モップについたホコリも「もったいない」

 ダスキンの主な取り組みは「くりかえすエコ」「へらすエコ」「みんなで使うエコ」そして「すてないエコ」の4つに分かれます。「くりかえすエコ」では、モップやマットを文字通り、繰り返し使うことを実践しています。1日に届けられるモップ、マットはなんと100%回収され、その96%が工場で再び商品化されます。モップは約20回、マットは約30回、繰り返し利用され、どうしても再生できない4%の商品は捨てるのではなく、セメントをつくるときの燃料に有効活用するという徹底ぶりです。さらに、驚きなのは、ダスキンはモップについたほこりでさえ、捨てるのはもったいないと考え、セメント原料の一部をして活用しています。

 回収したモップやマットは洗浄し、再生して再びお客様のもとに届けられます。モップなどを洗ったときに出る汚れた水は、水と汚れに分けます。水はきれいにして、一部は自然に還し、また一部は洗浄水として再利用します。通常なら、汚れの部分は廃棄されると考えますが、ダスキンは違います。捨てずにスラッジという固まりに変えて、セメントの材料にするのです。始まりは2000年の9月からでした。画期的なアイデアが出てくるのも、企業風土が大きな影響を与えていることは確かです。モノを大切に使い、繰り返して使うようにする。この方針に共感した人たちがダスキンにはたくさんいます。これが企業の活動の源になっているのです。


モップのホコリの資源化
モップのホコリの資源化
(画像提供:株式会社ダスキン)

■「喜びのタネまき」という環境宣言

 ダスキンが掲げるCO2削減量は、2012年度までの間に32%削減(2004年度を基準)を目指しています。この数字は他の産業と比較しても大変高い数字です。目標を高く掲げ、着実に進んでいるダスキンの姿が浮かびます。
 環境への配慮そのものが事業になり、収益をもたらす。ただし、それだけではありません。今、私たちが環境に関する活動を実施していくうえで、大切なことは子どもたちに「何が大切か」を伝えることです。
 ダスキンでは、ホームページに「ダスキンキッズタウン」という子供向けのコーナーを設けました。そこでは、子どもたちと一緒に地球温暖化について考えるコーナーがあります。工場のバーチャル見学ができるコーナーやお部屋をきれいにするゲームなどもあり、楽しみながら子どもたちが学べるように工夫されています。

「子どもたちに“モノを大切にする”こと、そして環境保全の重要性を伝えていきたいです」(ダスキン広報室)
 インターネット上だけでなく、リアルの世界でも子どもたち向けの工場見学を実施するなど、さまざまな活動を展開しています。
 2008年秋、ダスキンの理念「喜びのタネまき」の精神に基づき環境宣言を出しました。エコのタネをまき、育てていく姿勢が活動の随所に表れています。

(取材・文 江口 陽子)