『たべものがたり』のもうひとつの使い方 ~千葉県山武市立成東中学校~

2009/08/26

 ダイヤモンド社では、地球環境の大切さを豊富な写真やイラストとともに綴るビジュアル・エコブックを発刊し、全国の小・中・高に寄贈しています。シリーズ第三弾の『たべものがたり』も、全国の小・中・高、4万校に寄贈いたしました。学校の中には、このシリーズの本を授業でご利用くださるところも少なくありません。
 千葉県東部にある山武市(さんむし)には、礼節と規範を重んじることを教育目標の冒頭に掲げている「山武市立成東中学校」があります。生徒数275名の学校です。この成東中学校には、宇津木先生という家庭科の教師がいます。6月末、宇津木先生は『たべものがたり』を家庭科の授業で教材として利用しました。中学校の家庭科で『たべものがたり』はどのように使われたのか、また、生徒たちの反応はどうだったのでしょうか。今回は、千葉県山武市立成東中学校の家庭科の授業をレポートします。

「初めて『たべものがたり』を目にしたときに、授業で使えるのではないかと思いました」
 成東中学校の宇津木先生は、この本は生徒たちに「視覚で訴えられる」点で優れていると感じたそうです。なぜ、宇津木先生は生徒たちが文章を読んで理解するよりも、視覚で理解することが大切だと思ったのか。それには理由があります。
 宇津木先生が成東中学校で担当する教科は家庭科。その中には、特別支援学級での授業も含まれます。クラスには難しい漢字が読めない子どもたちもいるので、教材は文章を読まなくても、目で見るだけで伝わるものがいい。宇津木先生はそう考え、教材を探していました。そんな中、『たべものがたり』を目にしたのです。




たべものがたり書影
『たべものがたり』(山本良一:企画監修 Think the Earthプロジェクト:編著/ダイヤモンド社)



■難解な栄養素の話が伝わった

 その宇津木先生が授業で子どもたちに示したページは「体内トンネルツアー」です。朝、食べ物が男の子の体のなかに、朝食として取り入れられてから、「食道」→「胃」→「十二指腸」と流れていく様子が、イラストでわかります。最後に、届くのが大腸、肛門。体の外に排せつ物が出ていくまでの流れが目で見てわかるようになっています。
 授業で、宇津木先生は「体内トンネルツアー」の後に、栄養素の話や、必要な栄養が体に吸収されることをわかりやすく生徒に説明しました。そして食べ物が私たちの命をつないでいることを話し、さらには複雑な6つの食品群のことなどを伝えましたが、これらをスムーズに教えることができたといいます。大根などの淡色野菜と緑黄色野菜の違いなども、写真やイラストのページを利用して説明すると、わかりやすさが増します。
 『たべものがたり』は、もともとはエコブック、環境について考えための本として制作されました。でも、本は作り手のもとを離れたときから、読み手のものになります。利用する側が想像力を働かせることで、さまざまな読み方ができ、本の価値が読者によって高められます。宇津木先生は『たべものがたり』を通して、「体を健康に保つために必要な栄養素」について生徒たちに伝え、『たべものがたり』を食育という分野で、効果的に利用しました。

■あふれる情報の中で、シンプルさが際立つ

「必要な情報がまとまっていて、無駄がない」
『たべものがたり』についてこのような話す宇津木先生は、今の時代、子どもたちが情報過多になっていることを心配しています。ここ数年で、インターネットで調べれば、細かいことまで情報入手できるようになりました。情報が多すぎて、本来なら必要だった情報を見逃してしまうことすらあります。むしろ、『たべものがたり』のようなシンプルさがあると、情報を見逃すこともないので、限られた授業時間を有効に使うことができる。このように宇津木先生は言います。

 今、成東中学校では『たべものがたり』は家庭科室に置かれ、生徒が読みたいときに手に取れるようにしています。今後も必要に応じて、授業で利用していくといいます。

(取材・文 江口 陽子)