本物の体験を通じて学べる環境学習スタイルを提案
する活動
~パナソニック「地球の未来を担う子どもたちを育む
プロジェクト」~

2009/09/25

 子どもたちに、本物の体験を通じて学べるプログラムを提供したい。このように考えるパナソニックグループは、環境問題などの社会の課題と身近な暮らしを結びつけ、新しい価値観や行動を生み出すために地域と連携して実施する先進的な環境学習スタイルとして、「地球の未来を担う子どもたちを育むプロジェクト」を発足させました。
「もっと、実りのあるプログラムにしたい」
「子どもたちに必要なものは何か」
パナソニックの「本物」にこだわった、環境学習スタイルとはどのようなものか。「地球の未来を担う子どもたちを育むプロジェクト」を紹介します。

 プロジェクトの第一弾は「環境学習プログラム in 篠山」。「里山編」と「生き物編」の2部構成になっており6月からスタートしました。
「里山編」は、篠山特産の黒豆を育てながら、自然や暮らしに触れる5回シリーズ。「生き物編」は夏休み期間の2泊3日で生き物探しや自然遊びを通して命のつながりを感じるというものです。
「黒豆の苗を植え、育てて収穫する。プログラムを通じて、自然の恵みに感謝する気持ちが芽生えたらいいな、と思っています。また、里山の昔ながらの農家とのお付き合いを通じ、昔ながらの生活に触れることで、多くを感じ取ってほしいと願っていました」
 山口大輔さん(社会文化グループ 国内推進室 室長)はこのように語ります。里山編のプログラムには、地元の農家の協力が欠かせません。子どもたちは黒豆の植え方を教わり、苗植えを開始しました。
「黒豆の根はやわらかかった」
「カエルを捕まえた」
子どもたちは初めての経験に大喜びです。最初は、怖くて触れなかったミミズも平気で触れるようになりました。
「里山編はご家族で参加していただくプログラムです。ご両親は小さい頃、近所の川でザリガニを釣り、カエルやミミズに触れた経験があります。ミミズが怖いというお子さんも、ご両親が平気で触っているのを見て、自分もやってみようと思うようになりました」
「里山編」は家族で参加するメリットを十分に生かすことができた、と山口さんは説明します。



「環境学習プログラム in 篠山」 「里山編」の様子  「環境学習プログラム in 篠山」 「里山編」の様子
「環境学習プログラム in 篠山」 「里山編」の様子

■パナソニックの考え方の特徴

 「環境学習プログラム in 篠山」は、活動だけを眺めると一般の「野外活動」のようにも見えます。でも、注意深く見ると、そこには企業としての「本物の思い」が込められているのがわかります。
 パナソニックグループでは「次世代育成支援」「環境」を中心とした企業市民活動を展開しています。中でも、「次世代育成支援」では環境教育をはじめとした教育支援活動を展開しています。これまで、パナソニックグループでは手作り乾電池教室や省エネタイプの灯り教室などを開き、地域社会への貢献を続けてきました。その中で考え始めたことが、単なる知識習得ではなく、子どもたちの学びとそれからの行動にしっかりつながるプログラムが必要な時期に来ているのではないか、ということでした。
 山口さんが所属する社会文化グループでは専門家から地域の人たちまで、たくさんの意見をくみ取りながら議論を重ねました。そしてできあがったものが、「ひろげるエコアイディア」活動の一環として、地域と連携しながら推進する「地球の未来を担う子どもたちを育むプロジェクト」です。
 コンセプトの中心となる3つの柱は、図のようになります。



「地球の未来を担う子どもたちを育むプロジェクト」のコンセプト
「地球の未来を担う子どもたちを育むプロジェクト」のコンセプト

その中には、「ほんものの体験」以下、とても大切なキーワードが並びます。
 実は、これらは「ESD*」の視点であり、これを取り入れている点に「地球の未来を担う子どもたちを育むプロジェクト」が提供するプログラムの特徴があります。

*ESD(Education for Sustainable Development):日本が提唱し国連が推進する持続可能な開発のための教育のことで、「一人ひとりが、世界の人々や将来世代、また環境との関係性の中で生きていることを認識し、行動を変革するための教育」と定義されている。ESDの特徴は、環境問題などの社会の課題と身近な暮らしを結びつけ、学習などを通して、新しい価値観や行動を生み出そうという点にある。

 8月5日~7日の三日間は「生き物編」が実施されました。これは生き物と命のつながりを考えるプログラムです。命のつながりがどう自分とかかわっているのかを感じ取ってもらいたかった、と山口さんは語ります。また、自然の中には不思議な事がいっぱいあります。「なぜ?」をいっぱい感じることは、ESDの「自分自身で考える」というポイントにつながります。また、子どもたちだけで参加するので、ESDの「同世代の友だちとの共同学習を大切にする」という点につながっています。



「環境学習プログラム in 篠山」 「生き物編」の様子
「環境学習プログラム in 篠山」 「生き物編」の様子

■社会への貢献は経営そのもの

 パナソニックには、「企業は社会の公器」という理念があります。
「社会に貢献するというのが公器の存在。私たちにとって、社会への貢献は経営そのものです」
 金村俊治氏(社会文化グループ 参事)はこのように語ります。パナソニックにとって、不況だから社会への貢献をやめようといった発想はまったくありません。なぜなら、景気に左右されるような社会への貢献は本物ではないと考えるからです。「社会の公器」であることにこだわる。これは創業者の時代から変わっていないことです。パナソニックは、会社の名前は変わりましたが、創業者が打ちたてた経営理念は変わらずに残っています。
 社会貢献は企業によって、考え方が違います。もちろん、これが絶対正しいというものはありません。ただ、それが本物かどうか、不況の今だから、その違いが顕著に表れているといえます。

(取材・文 江口 陽子)