シリーズ最新刊「earth code」、
タイトルに込められた意味

2010/04/09

 4月8日、シリーズ最新刊が発行されました。
「未来図書室.jp」でお伝えしている通り、ダイヤモンド社では刊行した書籍を協賛社の協力を得て全国の学校へ寄贈する活動を展開しています。これまで、食べ物、水、生き物など、身近にあるものをとりあげ、さまざまな問いかけの中で地球の問題と私たちの暮らしについて考える書籍を提供してきました。

 新刊のタイトルは『earth code 46億年のプロローグ』、「環境」の本です。ただし、環境といっても、地球温暖化の状況や新エネルギーを紹介するページはありません。この本は私たち生物の「体」に刻まれた「earth code」を取りあげることで、地球と私たちの関係を問い直す本です。
 ここまでの説明を読んで、
「いったい、本のタイトルにもなっているearth codeって何だ? 体と地球環境には、どんな関係があるのだ?」
 このような疑問を抱いた方も少なくないでしょう。
 そこで、この本の編著を担った「GENERATION TIMES」の伊藤剛さんに、earth codeについて語っていただきました。

earth code


■体と地球の関係を紐解く一冊
 
 普段、伊藤さんはジャーナル・タブロイド誌「GENERATION TIMES」の編集長を務めている方です。実のところ、『earth code』の制作前まで、「GENERATION TIMES」では環境をテーマに取りあげたことがありませんでした。理由は「まえがき」に詳しくありますが、ひと言でいうと、近年の「地球にやさしく」という言葉に違和感を抱いてからです。そんな伊藤さんがなぜ環境の本を制作する気持ちになったのか。この本の「始まり」について知ると納得できるでしょう。

 伊藤さんは旅が好きで、頻繁にバックパック一つで海外へ足をのばしていました。そんな伊藤さんが、ある日、ふと一行の言葉が頭に浮かびました。それは、海外に行くと必ず尋ねられる、“Where are you from?”という問いです。

「どこから来たのですか?」

 私たちは目の前の相手に対して、どことなく「自分との違い」を感じ取るものです。さらには会話を通して、あるいは持ち物や服装などから、無意識のうちに中国人には「中国人らしさ」を、韓国人には「韓国人らしさ」を、その人の「出身国らしさ」を感じ取ります。「日本人らしさ」「東欧人らしさ」「英国人らしさ」。一人ひとりには、言語化できない「らしさ」が内在しているのです。

■「らしさ」の正体は何か

 さらにいえば、この “Where are you from?”が問いているのは、国名だけではありません。ずっと先の未来、私たちの生活には宇宙旅行が定着する日が来ても不思議ではありませんが、そのとき、仮に宇宙人というものが存在するなら、そこでも、きっと「どこから来たの?」という問いが行き交い、私たちは「地球から来ました」と答えるでしょう。

 では、異星人が感じる「地球人らしさ」とは、どのようなものでしょうか。実は、私たちの体には、地球で暮らしていることで刻印された「地球のしるし(earth code)」が表れています。
 たとえば、私たちになじみある「重力」と「人間の体」を結び合せて地球を眺めてみると、意外な事実を発見するでしょう。私たち人間の体には、脊椎(せきつい・背骨)があり、人間の身長はおよそ1~2mの範囲にあります。実は、ここに「地球人らしさ」の意味があると伊藤さんは説明します。

「もし、人間の身長が5mあったら、脊椎は重力に耐えられずに、体を支えることができなくなってしまいます」(伊藤さん)

 結果、人は二本足で歩くことができなくなり、恐竜が生息している時代なら、逃げ遅れてティラノサウルスに食べられ絶滅してしまうでしょう。
 逆にいえば、私たち人間の身長は1~2mの範囲にあったから、21世紀の今まで生き延びてこられたともいえます。

 このように、私たち人間の体には生き残った証、「earth code」がたくさんあり、ここに「私たちらしさ」が表れています。これには、重力だけでなく、光や酸素などが影響し、目、鼻、そして肺などの臓器に刻まれた、地球生命種ならではの特徴ともいえます。

 earth codeをもとに、「私たちらしさとは何か」を探る。そうすることで、地球と私たちの「体」との関係から、地球環境について考えることができるのではないか。ここに、この本のスタートがあります。


■私たちの以前に20種の絶滅種がいた

「わたしの地球年代記」
「わたしの地球年代記」


「私たちは地球で生き伸びてきた『地球生命種』の一つにすぎない」(伊藤さん)

 人類は「猿人」「原人」「旧人」「新人」と進化してきましたが、実は、その過程では、さまざまな種が生まれ、消えていきました。全部で21種類あるといわれており、私たち「ホモ・サピエンス」以外の20種はすでに絶滅しています。
  『earth code』のなかには、「わたしの地球年代記」というページがあります。地球が誕生したのが46億年前で、現在に至るまでを1年という時間の単位に置き換えて年代記にしています。
 それによると、地球に生命体が現れたのが1月から12月の12カ月で表すと、2月の中旬で、多細胞生物が誕生したのは、9月5日にあたります。その後、人類が誕生したのは、12月31日10時40分、私たち「ホモ・サピエンス」が誕生したのは、なんと12月31日23時37分です。

 私たちは日々の暮らしの中で、便利さを享受して不自由なく生きています。文明の進歩を誇りに思い、時には神になったようなふるまいをみせることもあります。しかし、私たち人類は、1年間に置き換えるなら、大みそかの最後のほうでやっと誕生し、その歴史は、地球の長い歴史と比べると、ほんの最後のほうの一瞬に過ぎないことがわかります。

 この本は、3部作の第一部です。「心・技・体」の3つの中の「体」を扱った本で、「体」に刻印されたearth codeと地球の関係を紐解いた本です。次の2作では、「心」「技」をもとに、「なぜ、人類21種目の私たちだけが、今この地球に残ることができたか」を紐解くことで、地球について考える予定でいます。まずは、「心・技・体」の「体」を著した『earth code』から、ぜひ、お手にとって、私たちの体に刻まれた地球のしるしに目を向けてみていただけたらと思います。
(取材・文 江口 陽子)


「GENERATION TIMES」編集長 伊藤 剛さん
「GENERATION TIMES」編集長 伊藤 剛さん