日本で始動! 環境学習プログラム「エコスクール」

2010/05/26

 環境への意識の高まりから、さまざまな環境学習プログラムが用意されるようになりました。数多くあるプログラムの中でも、海外にはエコスクールという世界最大規模の環境学習ブログラムがあり、全世界の学校で盛んに取り入れられています。

 環境プログラムによる活動は、日本だけでなく、とくにヨーロッパでは古くから盛んで、それを証するかのように、ヨーロッパで生まれた環境学習プログラムは数多くあります。エコスクールもその一つで、1994年にデンマークで生まれ、現在世界50カ国、2万7000校で、900万人以上の子どもたちが取り組んでいます。

 2009年 から、日本でもエコスクールの運営が始まり、参加が可能になりました。北欧発祥のプログラムということもあり、日本のプログラムとは異なった特徴を持っています。たとえば、生徒の自主性が重んじられ、活動のテーマは生徒が自由に選ぶことができ、活動を地域へ発信することに重点が置かれています。また、海外のエコスクールと情報交流も出来ます。

 もう一つの大きな特徴は認証システムにあります。プログラムで決められた7つのステップを6カ月以上継続すると、エコスクールの証(あかし)であるグリーンフラッグがもらえます。取得には審査があり、参加する子どもたちのモチベーションアップにもつながります。

■子どもの自主性を重んじる

 エコスクール事務局では、昨年の夏、幼稚園、保育園を含む学校に案内を送付しました。当初、日本では聞きなれないプログラムということもあり、 学校側の反応はまちまちです。そのなかで、熊本の小中高で4校 、関東圏で2校 の 参加が決まりました。




7つのステップ
7つのステップ




 4月から、日本で初めて、エコスクールのプログラムがスタートしました。参加校では、環境委員会を立ち上げ、ステップ1の「生徒中心にグループをつくる」段階を進みます。ステップ2は「調査をして目標を決める」です。子どもたちは集まって、何が問題なのかじっくり調査し、目標を決めていきます。学校周辺を歩いて問題を発見した学校もあるといいます。現在では、ステップ3まで進んでいる学校もあり、来年には、日本初のグリーンフラッグ取得にいたる学校も出てきそうです。

「このプログラムのいいところは、生徒が主体になっているところです」(エコスクール事務局、以下同)

 エコスクールは、単なる環境プログラムではなく、自分で考え、全員で合意し、全員で行動していくという民主的なプロセスを学ぶ機会でもあります。実際の活動では、委員会など、子どもたちが自分の意見を述べる場が用意されています。何をすべきか、先生が決めるのではなく、子どもたちが自分たちで見つけます。出される意見は、学校周辺をきれいにすることや、食の安全を考えた上でのゴミの削減など、自分たちが問題だと感じたものが主になります。
 とかく、日本では、「人と同じ」ことが重要だとなりがちで、子どもたちは自身の意見を述べることに意味があると教わらずに過ごしてしまいます。子どもたちの自主性をより育てたいと考えている方には、エコスクールのプログラムに、より高い効果が期待できそうです。

■全員参加の意味

 エコスクールは、主体となるメンバーが生徒であり全員参加である点も特徴です。エコスクールの活動が特定の誰かのものにならないように気を配ります。とかく、中心メンバーや発言力の強い人たちの間だけで、議論や活動が活発になってしまうことがあります。

「たとえば、小学校6年生の一部の子どもだけで盛り上がると、その子どもたちが卒業したら、あとに何も残らなくなってしまいます。今後に長く続けていくためにも、全員参加は必要です」

 学校によっては、校長先生がエコスクールの活動に理解を示し注力しても、結局、校長が異動になったら、活動が尻つぼみになってしまうこともあります。そうならないためにも、一度築いた環境活動の仕組みを長く続けるためには生徒の主体的な全員参加は必要なことだといいます。

「参加校を増やすことも大切ですが、まずは、活動の内容を充実させたい」

 形だけでなく、名実ともに、グリーンフラッグは環境学習プログラムとしての価値の高い物になりそうです。

(取材・文 江口 陽子)