国際生物多様性の日 「植樹イベント」
~流山市立八木南小学校~

2010/05/28

 環境問題への意識の高まりから、「植樹」は私たちにとって身近になりました。5月22日は、国連が定める「国際生物多様性の日」。世界各地で、「グリーンウェーブ」という植樹イベントが執り行われます。これは、国連の呼びかけで、現地時間午前10時に植樹するというもので、当日、植樹は地球上の東から西へ、波のように広がっていくことから、「グリーンウェーブ(緑の波)」と呼ばれています。日本でも、2009年から環境省の呼びかけによって、各地域で植樹イベントが開催されるようになりました。

「グリーンウェーブは単に木を植えるだけでなく、生物多様性について考えるきっかけであることを一番の目的にしています」

 環境省生物多様性地球戦略企画室の吉原純一氏は、グリーンウェーブは生物多様性について、学び考えるところに意味があると語ります。今年は生物多様性年であり、10月には名古屋で生物多様性条約の第10回、締結国会議が開催される予定です。
 しかしながら、現段階では、生物多様性については「敷居が高くて何をすればいいのかわからない」という声もありますし、生物多様性という言葉も知らないという人も少なくありません。グリーンウェーブは植樹という身近なイベントを通じて、生物多様性をよりよく知る機会として設けられました。

 一般的に、植樹というと、地球温暖化の防止策として認識されています。ただし、生物多様性の視点では、
・樹木にはたくさんの種類があること
・植樹する木の種類は何でもいいわけではなく、外来種ではない在来の種を植えることが重要
・植樹後の手入れも必要
といった、地球温暖化とは別の角度で植樹を捉えることになります。つまり、「何を植えるか」を考え話し合うだけでも、生物多様性のなかで重要な「生態系」について考えるきっかけとなります。

 昨年、環境省は初めてグリーンウェーブを呼びかけました。5月18日から6月14日と定められた期間は短いものでした。それでも、日本全国で3,000人を超える参加者があり、約3,500本の苗木が植樹されました。今年は、3月1日より5月31日までと期間を長く設け、昨年よりも、多くの人たちが参加する予定です。

■植樹は初めての経験

 参加した団体の一つに、流山市立八木南小学校があります。今年、初めてグリーンウェーブに参加しました。これまでも八木南小学校では、地球温暖化やゴミなど、環境問題に関する学習を進めてきましたが、生物多様性については、教師も児童もあまり考える機会はありませんでした。

「本を読んで理解することは大切ですが、それだけではどこか遠くの世界の話で終わってしまいます。子どもたちは植樹の活動を通して体で理解します。この経験が次の行動に繋がるところに意味があると私は思います」

 このように語るのは、流山市立八木南小学校 校長の野崎肇子(*)先生です。

「きっかけは、学校教育課からの声がけでした」

 今回、流山市内でグリーンウェーブに参加した小中学校は、八木南小学校も入れて、全部で23校。市内の小中学校の校庭に113本の苗木が植えられました。流山市は都市計画がしっかりと策定されている市で、中でもグリーンチェーン戦略など、緑化への取り組みが盛んです。今回、流山市は環境省の呼びかけにより、グリーンウェーブを知り、市の緑化の方針とも合致していることから、市内の小中学校で参加することが決定しました。活動にあたっては、流山市の環境政策課と学校教育課が協力し、学校への呼びかけや苗木の用意などの準備を進めていきました。




渡辺さん
向かって左:流山市役所 環境政策課 渡辺慎也さん、中:流山市立八木南小学校 校長 野崎肇子先生、右:副校長 岩井雅規先生




折田先生
子どもたちに植樹を説明する担任の折田先生



 一方、学校ではグリーンウェーブへの参加が決まり、子どもたちが苗木を植えやすいように、事前に穴を掘りました。そのほか、肥料の準備や、ペットボトルでつくったじょうろなど、植樹当日に向けて準備を重ねました。
 まさに、八木南小学校のグリーンウェーブは、環境省の呼びかけが流山市、そして学校に伝わり、実現したイベントです。




肥料
まずは穴に肥料をまきます



植樹
植樹が完了しました




 当日になりました。これまで、子どもたちは野菜などの種植えは経験していますが、植樹は初めてのことです。広い校庭に、4年生の児童が集まります。6つの班に分かれた子どもたちの前には、苗木が並べられています。実行委員の進行により、野崎校長先生があいさつし、その後、担任の折田英昭先生が植樹の方法を子どもたちに伝えました。

 植樹が始まります。子どもたちは校舎横の花壇に苗木を運び、肥料をまきます。そして、穴にすっぽり苗木を植えて完了です。

「今は小さくても、僕の子どもたちがこの学校に入る頃には、今日植えた木は大きくなって、日陰をつくって、学校や生徒たちを冷やしてくれると思います。今から、とても楽しみです」

 児童の一人が感想を述べました。卒業した後も、学校に立ち寄る楽しみが生まれました。机の上で、「生物多様性」という言葉とにらめっこしても、なかなか理解は深まりません。木を植えた経験は、心に鮮明に残ります。そして、この働きが次への活動に繋がる。その連鎖が、子どもたちの成長に役に立っていくのでしょう。

(取材・文 江口 陽子)




環境省
環境省 生物多様性地球戦略企画室
向かって左:鈴木 渉氏 右:吉原純一氏




*「崎」は機種依存文字のため崎で代用しています