『たべものがたり』を環境学習用として贈呈
~鹿児島銀行の環境活動~

2010/08/31

 噴煙をあげる桜島、眼前に広がる海、そして、明治維新で活躍した偉人の出身地。観光客の姿が絶えない鹿児島で、3月、ある贈呈式がありました。場所は鹿児島県庁、送り主は明治12年に創業した鹿児島銀行です。贈り物はダイヤモンド社の『たべものがたり』100冊。受取人は鹿児島県内で活動を展開しているこどもエコクラブです。
 こどもエコクラブというのは、当コーナーでもお伝えしましたが、子どもならば誰でもが参加できる環境活動クラブで、全国に3,662クラブ、179,413人の子どもたちが登録・活動しています(2009年度実績)。形態や活動内容はクラブによってさまざま。地域に生息する動植物の生態系調査や川の水質調査、荒廃地を再生利用した蕎麦の栽培など、それぞれのクラブが独自にテーマを決めて、自主的に環境活動や学習に取り組んでいます。
 鹿児島県の中にもいくつかこどもエコクラブがあり、エコに関する調査結果発表会や海水から塩を生成する、カヌーを体験するといった楽しみながらの活動を展開しています。

 鹿児島銀行は2007年度から鹿児島県内のこどもエコクラブに寄付活動を実施しており、これまでにも、環境学習用として救急セットなどを贈呈しています。

「今年は子どもたちが環境学習や実践の活動にあたり何が必要かを踏まえたうえで、こどもエコクラブの要望を汲み、環境学習に役立つ本を送ることに決定しました」

 営業開発部 諸麦悠子(もろむぎ・ゆうこ)さんは書籍を贈呈したいきさつを語ります。『たべものがたり』は、ダイヤモンド社の学校寄贈プロジェクトの中の一冊で、環境と密接なかかわりのある「食」をテーマにしています。世界の食を知ることで、日本の食の現状、そして環境について見直すきっかけとなる本です。子どもたちが環境活動を進めるにあたり、読んでおくことで、知識だけでなく、新たな着眼点を得る、考え方を深めるといった要素が詰まった本でもあります。




たべものがたり
『たべものがたり』(山本良一:企画監修 Think the Earthプロジェクト:編著)




■美しい自然を守りたい

 鹿児島銀行は地域に根ざした経営で、創業以来、地元の人たちとの信頼関係を築いてきました。そのなか、古くから環境活動を積極的に推進しています。鹿児島県は日本初の世界遺産、屋久島や稀少な動植物を育む奄美の島々など、美しい自然に恵まれた土地です。地域の人たちが郷土の自然を守りたいという思いがわき出るのもうなずけます。地域に密着した事業を続けている鹿児島銀行ではなおさら環境への思いが強まっていったのでしょう。

「個々の行員がマイ箸を持参する、通勤はマイカーではなくバスを利用するなど、身近にできることを積極的に取り入れる風土が根付いています」(諸麦さん)

 鹿児島銀行では県内のこどもエコクラブへの贈呈のほか、本店屋上の緑化や環境を育む企業の森林(もり)づくり事業の参画など、幅広く取り組んでいます。

 環境への取り組みは企業によって、形はさまざまです。事業に直接結びつけた活動を展開するところもあれば、環境活動を実践している団体に寄付することで、活動を支援しながら間接的にかかわる形もありますし、その両方を推進しているところもあります。
 どの活動にもそれぞれ企業の環境への思いが込められています。なかでも、鹿児島銀行の活動のように、子どもたちへの教育を支援することは、将来、地球のどこかで環境に関する活動を推進する人物を生み出すことにつながることでもあります。環境学習を進める教材として、『たべものがたり』や『earth code』、『みずものがたり』などは、写真やイラストなどが豊富で、子どもたちの好奇心を刺激するものでもあり、贈呈にも適しています。




earth code   みずものがたり   1秒の世界
左から『earth code』(GENERATIONTIMES:編著/山本良一:特別協力)
『みずものがたり』(山本良一:企画監修 Think the Earth プロジェクト:編著)
『1秒の世界』(山本良一:責任編集 Think the Earth プロジェクト:編)




■銀行業務が贈呈につながった

 そもそも、鹿児島銀行がこどもエコクラブに贈呈することになったきっかけはどこにあったのでしょうか。それは、「ペーパーレス」への取り組みが始まりにありました。近年、企業では環境負荷低減の視点から、ペーパーレスが進んでいます。銀行では、顧客がATMやテレフォンバンク、インターネットバンキングを利用すると、申し込み用紙への記入が不要になり、その分の用紙を削減することができます。
 鹿児島銀行では、毎年夏にキャンペーンを展開し、顧客にペーパーレスへの協力を呼び掛けています。用紙を利用しないということは、その分、用紙代金が浮くことにもなります。この金額相当の品物をどこか環境負荷低減活動に貢献する形でどこか団体に寄付したい。このような思いのもと、贈呈の活動が開始されるようになりました。しかし、最初はどこに寄付したらいいのか、わかりませんでした。そこで、鹿児島銀行は鹿児島県に相談し、鹿児島県内で環境活動を展開しているこどもエコクラブに贈呈することを決めたといいます。

「ありがとうございますという言葉を頂戴しました。喜んでいただいているようでうれしく思います」(諸麦さん)

 今年、資源の削減で浮いた金額は、全部で325,500円になったといいます。毎年、30万円程度の贈呈がなされています。これからもこどもエコクラブへの贈呈を続けていきたいと話す諸麦さん。来年は何を贈呈するか、思索中だといいます。

(取材・文 江口 陽子)