“この地球上にキミを探せ!”が空港に
~日本航空の生物多様性への取り組み~

2010/09/30

 10月にCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が開催される影響で、テレビや新聞では、関連のニュースが伝えられる機会が増えました。当サイトでは生物多様性について、言葉の意味を始め、さまざまな事項を伝えてきました。

そのような中、最近では生物多様性へ積極的に取り組みを展開している企業が増えています。企業における生物多様性の活動とは、どのようなものがあるのでしょうか。2月に、「JALグループ生物多様性方針」を正式に定めた日本航空の取り組みを紹介します。

 JALは方針を定めることにより、従来から事業のなかでそれぞれの部署が個々に進めてきた活動を整理することができました。今後、企業として何をすべきか。この答えとして、「JALグループは、人類や地球環境が生物多様性から受ける恩恵を正しく認識し、積極的に、生物多様性の保全とその恵みの持続可能な利用に努めます。」と宣言しています。方針が定まった翌月の3月から、次々と活動が開始されていきます。

 活動の一環として、『earth code』(GENERATION TIMES編著、山本良一特別協力/ダイヤモンド社発行)と、「この地球上にキミを探せ!」作品応募企画のチラシを成田国際空港、東京空港(羽田)など、8つの空港のサポートカウンターやラウンジなどに設置しました(応募期間終了により、現在は設置しておりません)。『earth code』は、地球上に存在するさまざまな生命と、それぞれに刻まれた確かな“地球のしるし(=earth code)”について書かれています。手に取った方によって抱く感想はさまざまでしょうが、なかには生物多様性について考えるヒントとして用いた方もいるのではないでしょうか。



FAMS  Mカウンター
書籍とチラシをサポートカウンターやラウンジに設置


■COP10エコジェットの就航

 JALの生物多様性への取り組みは多岐にわたりますが、活動の一つにCOP10の応援があります。具体的な活動として、6月には特別塗装機「COP10エコジェット」が就航しました。これは、JALでは2008年より緑の尾翼の特別塗装機「JALエコジェット」を就航していますが、この機体にCOP10のロゴを描いたものです。見た目は美しく、素晴らしいできあがりですが、実は、機体の塗装において、デザインのずれを調整するのに一苦労したといいます。なにしろ、飛行機の機体には凹凸や障害物等があります。平面である図面上にはなんら問題が見当たらなくても、実機にデカール(シール)を貼りつけていくのは、並はずれた技が必要なのです。
 このような苦労のかいもあり、取り組みに関して、多方面からさまざまな反響がありました。生物多様性条約事務局長のアフメッド・ジョグラフ博士からは、「COP10ロゴのついたジェット機を就航させ、“国連地球生き物会議”の目標の推進に力を合わせていこうという、JALの取組みにも敬意を表したいと思います。」という、コメントが届いたといいます。

 「COP10エコジェット」の就航とともに、子どもたちを対象とした「生き物折り紙教室」が開催されました。JALスタッフが講師として参加して、折り紙で象を折ろうというものです。普段は宣伝物の制作業務やVI(ビジュアルアイデンティティー)の管理をしている宣伝室の新倉里歩(にいくら・さとほ)氏も、仕事の合間をぬって、本番に備え、たくさん練習を重ねました。それでも、折り紙の象はやや難易度が高めです。うまくいくのでしょうか。

「教室に参加された子どもたちは熱心で、また器用で、誰一人として途中で断念するようなことがありませんでした」
 スタッフ一同、子どもたちが熱中する姿に驚いたといいます。できあがった象は、同じ折り方をしていても、わずかな折り目の違いがあるため、全く同じものはありません。作り手の個性が反映されている数々の象は、本物の群れをなしているようで、見応えのあるものに仕上がりました。

■なぜ、生物多様性なのか

 そもそも、JALはなぜ、環境への取り組みに積極的なのか、そのなかでも、生物多様性に注力しているのでしょうか。
「JALグループは、地球規模で活動する航空会社として、空から見る地球がいつまでも美しくあってほしい、豊かな地球を次世代に伝えていきたい、という考えに則りさまざまな環境取り組みを行ってきました。生物多様性はその豊かな地球、美しい地球を構成する大切な要素のひとつです。」(宣伝室 佐藤 洋輝(さとう・ひろき)氏 以下同)

 毎日、上空から地球を眺めているJALだからこそ、地球の少しの変化にも敏感なのでしょう。とはいえ、生物多様性という言葉自体、まだ、日本では十分に認識されていないのが現状です。

「そこで、生物多様性保全に向けた行動の第一歩は、まずは生物多様性について多くの方が理解し、関心を持つことが大切であり、そうした観点で当社としてお役に立てることがあると考えました。」

 航空会社は飛行機のなかで、乗客とともに同じ空間と時間を過ごします。機内には雑誌やビデオが用意されています。これらを通して、生物多様性について伝えることが航空会社だからこそできることではないか。そのように感じたことが、活動の原動力になったといいます。もうすぐ10月、COP10開催に向けて、ますますJALの取り組みは熱く高まりをみせていくことでしょう。