「この地球上にキミを探せ!」~海洋生物編~
共通点を探しに新江ノ島水族館に子どもたちが集合!

2010/10/27

「魚とプランクトンの違いって知ってる? クラゲは魚? それともプランクトン?」
 講師の問いかけに、子どもたちは、「どっちかなぁ?」と考えます。
 10月16日、新江ノ島水族館に併設された「なぎさの体験学習館」に30名を超える子どもたちが集まりました。開催されたイベントは、ダイヤモンド社が主催した「この地球上にキミを探せ!」 ~海洋生物編~ です。
 未来図書室では、企画をたてるにあたり、子どもたちに「ひと」と「生きもの」の繋がりを感じてもらいたいと考えました。ふだん、テレビやインターネットでしか接することのできない海洋生物ですが、子どもたちが直接目で見て、触って確かめることで、きっと新たな発見があるのではないかと考えたのです。

 人間をはじめとした私たち「生きもの」は地球の厳しい自然環境で生き残り、今の時代に生活しています。いうなれば、地球上に暮らす生物は、みな「サバイバー」で、その証は体にどこかに残っているはずです。私たちは生きものを観察することで、人や魚などに共通する証を捉えることができます。今回は「海洋生物編」として、水族館の観察を通して海の生きものと人との共通点を探ろうというものです。イベント参加者に課せられたミッションは
「海の生きものと私たちの似ている点、共通点を見つけてみよう!」
です。
 とはいえ、水族館で泳ぐ魚をぼんやり眺めるだけでは、簡単に共通点を見つけられるものではありません。そこで、イベントでは、ミッション達成に役立つよう、いくつかの仕掛けを施しました。




岸田さん
ゲームを通して学ぶから楽しい。講師の岸田ほたるさんは「蚊からヒントを得て痛くない注射針が開発されました」と生きものと私たちの生活の”つながり”について説明します。



earthcode
来場者全員に『earth code』をプレゼント! イベントが始まるまでの間、熱心に読む子の姿も。




■触ることで親しみが増す

 水族館の観察を前に、もっとも盛り上がったのが、「海の生きものと友だちになろう」です。4つのグループに分かれ、そのうちの二人が目隠しをします。そこに届けられた、ボウルに入った海の生きものを、目隠しの二人が触ってあてるというゲームです。このような体験は水族館ならではのことです。
 ボールのなかに物体が入っている様子です。
ボールの中を見て、目隠しをしていない子どもたちから歓声が上がります。




クラゲ
「いったい何?」 目隠しをした子は恐るおそる手を差し出します。



 ふにゃっとした感覚に驚きの声があがります。それでも、もう少し触ってみます。
「これはクラゲかなぁ?」
 正解です。講師の倉田さんが答えを明かします。

「クラゲの真ん中にあるクローバーのような形をしたものは胃です。そとから見えるでしょう。黒いものを食べたら黒くなるんですよ」
 ふだんなら見落としてしまうようなところに、目が行くよう、講師の倉田さんは子どもたちに観察のポイントを伝えます。




倉田さん
新江ノ島水族館 講師 倉田桂子さん。子どもたちはしっかりと耳を傾けます。



ヒトデ
ヒトデも触りました。



 会場が楽しい雰囲気でいっぱいになりました。準備万端、いよいよ水族館に出発です。
「海の生きものと、みんなの、どこが似ているか探してきてね」
 子どもたちはスケッチブックを片手に4つのグループに分かれ、一チームごとに出発しました。

 最初に訪れたのは、「相模の海のゾーン」です。新江ノ島水族館は、相模湾に面しています。目の前の水槽は、相模の海の環境を再現しています。マイワシが群れになって泳いでいます。その数は8000匹。すっかり引き込まれて、時間が立つのを忘れたように、ガラスに顔をつけて動かずにいる子もいます。
「あれ、おじいちゃんの顔にそっくり」
 参加者の一人、マイさんはエイを指差して言いました。早くも共通点を見つけたようです。
 水族館には、深海魚や冷たい海に生息する魚、暖かい海の魚たち、ペンギンやアザラシもいます。なにより、子どもたちをくぎ付けにしたのはクラゲです。だって、さっき、なぎさの体験館で実物を触ったのですから、これまでのクラゲとは親しみの距離が違います。

■海の生きものとひととの共通点は見つかるか

 海の生き物に直接触れられるタッチングプールに移動し、ベンチに座って、絵を描きます。




描けた!
描けた! テーマは「ひとと生きものの共通点」



スケッチ1  スケッチ2  スケッチ3


 サクラさんは水色のクレヨンを手にしました。描いているのはクラゲです。
「人間の手の形に似ていると思った」

 チサさんはウミガメを描きました。
「人間が平泳ぎをしている姿と似ていると思いました」

「私はわからない」
 共通点が見つけられずに、クジラの絵を描く子どももいます。



集合写真1  集合写真2  集合写真3
それぞれが印象に残ったものをスケッチブックに残しました。



 なぎさの体験学習館に戻ったあとは、みんなで絵を見せあって終了しました。子どもの多くは、一度は水族館に行ったことがあるでしょう。館内を端から眺めて、友だちと魚を楽しむのも素敵なことです。でも、たとえば、「ひと」との共通点を探しながら魚を眺めてみる。いつもと少しだけ違った視点で魚を見ることで、私たちはたくさんの生きものと繋がっていることを知ることができます。

 私たちは地球の上で暮らしています。人間はさまざまな能力を有しており、その力によって生きているようにもみえます。でも、本当は、さまざまな生きものとつながることで生かされているのです。
 地球上にいるいろんな生きものと繋がっていることは、直接生きものに触れてみないとわかりにくいことです。繋がりはすぐにはわからなくても、今回のイベントがいつか理解できるきっかけとなったら、それは素敵なことです。

(取材・文 江口 陽子)

※子どもの名前は仮名です。