文化祭に『世界を変えるお金の使い方』が使用されました

2010/10/28

 ダイヤモンド社が全国の小・中・高等学校に寄贈している書籍は、たくさんの学校で授業の教材や学芸会の資料として、そして図書室に置く本として利用されています。10月初旬、長野県のある中学校で文化祭が開催されました。そこでも、『世界を変えるお金の使い方』が活用されました。生徒たちはなぜ、いま、この本を文化祭で活用しようと思ったのでしょうか。

「不況のなか、今一度お金について考える必要があると生徒たちは考えたようです」
 指導にあたった生徒会顧問の米窪先生は、文化祭でお金をテーマに選んだ理由をこのように説明します。『世界を変えるお金の使い方』という本は、100円で何ができるか、300円では、10000円では、そして1兆2000億円ではどうか。お金の単位ごとに、何ができるかをまとめた本です。
「300円で、タイとカンボジア国境1m2の地雷を撤去できます」
「3000円で、イラクの国内避難民キャンプで暮らす家族に越冬用の灯油が購入できます」
 などと綴られています。

 文化祭では、『世界を変えるお金の使い方』の中から4つの項目を選びだし、クイズ形式で出題しました。生徒は体育館のステージに登り、スクリーンにスライドを映しだしました。




設問  回答一覧


解答
三択方式のクイズに来場者が答えました。




■手に取ったときピンときた

 スライドの制作と発表は、中学校の中の「総務企画」という生徒会活動を進めているメンバーが互いに協力して完成させました。

 毎年、総務企画では文化祭での発表を続けています。まだテーマが決まっていない春先のある日、メンバーの一人が図書室で、ダイヤモンド社が寄贈した『世界を変えるお金の使い方』を手にしました。本を手にとったとき、「これはいい、文化祭で使えるのではないか」とピンときたといいます。その後、総務企画のメンバーで今年の発表内容を話し合っているときに、ぜひこの本を題材にして発表したいという意見を出しました。
 簡潔なデザインとわかりやすくまとめられた文章、ふんだんに使われている写真。『世界を変えるお金の使い方』はページが見開きになっており、テーマごとに話が完結しています。本を手にしたメンバーはすっかり気に入り、この本を利用してお金をテーマにした発表を行うことが決まりました。そして、夏休みに入り、具体的な制作活動が始まります。

 進めていく上で、一番の苦労は、一冊の本のなか、どのページをとりあげるかを決めることです。メンバーが集まり、ページをめくりながら、取り上げる項目を選んでいきます。

「本のなかには、3000万円や1兆を超えるお金も出てきました。それよりも、もっと中学生にとって、身近な、自分でも手にしたことのあるお金にしようということになりました」(米窪先生)

 最初にメンバーが選んだのは、6つの設問です。ところが、最初に選んだもののなかには、最終の発表では使われないものがありました。
「100円で、ミヤンマーの子ども5人にポリオワクチンが接種できます」
 これは採用されなかったページですが、理由はポリオという病気が身近でないからです。日本では、ポリオワクチンの接種がしっかりと行われているため、日本にいる限りポリオの患者を目にすることはほとんどありません。そこで、ポリオよりももっと身近なことがらを選ぼうということになり、以下の4つに決まりました。

「100円で内モンゴルのホルチン砂漠に植えるポプラの苗木が10本買えます」
「100円で20年以上も続いた紛争によって、教育そのものが大きなダメージをうけたアフガニスタンの子ども5人に、国語や算数の教科書を提供できます」
「300円でタイとカンボジア国境にある、地雷原を1m2分なくすことができます」
「700円で20個のおにぎりを路上生活者に提供。温かい食事と温かく見守る気持ちが彼らの自立を支えます」




世界を変えるお金の使い方
『世界を変えるお金の使い方』(山本良一、Think the Earth Project/ダイヤモンド社)




■「誰かを幸せにする」というお金の使い方

 当日、文化祭の会場に訪れたのは、生徒のほか、保護者と地域の人たちです。文化祭は学校外の人たちに開放しているので、自由に誰でも入れます。
 感想のなかには、「お金のさまざまな活かされ方を知ることができて良かった」というものが多くを占めました。
 わずかなお金で、世界の中で困っている人たちに手を差し伸べることができる。これが生徒たちにとっても、新たな発見だったようです。

「100円で教科書が提供できるなんて知らなかった」
 メンバーの一人はこういいます。
 発表では、コンビニエンスストアなど、身近で簡単に募金できる場所を紹介しました。いままで、募金なんてしたことがなかった生徒も、簡単にできるのなら、トライしてみようと思った子もいたといいます。

「文化祭がなかったら、お金について学ぼうなんてしなかったと思います」
 世の中には自分の知らないお金の使い方がある。生徒の一人は、準備を進めながら、新しい発見があり、楽しかったと言います。みんなで話し合い、意見を調整しながら準備を進めることはラクなことではありません。それでも、メンバーの生徒たちは「何一つ苦労はなかった」と言います。生徒にとって、準備がたいへんだったことよりも、準備を進めていく段階の新たな発見があったことへの喜びが大きかったのでしょう。来年の「総務企画」は新たなメンバーが加わります。来年に向けて、これから新たなスタートが始まります。

(取材・文 江口 陽子)