人の出会いや体験が子どもを変える

2007/08/21

私は、小学校教員です。環境問題の深刻さに胸を痛め、積極的に環境学習を
行ってきました。若手の頃は、環境について子どもたちに熱く語っていまし
たが、子どもたちの反応は今一つだったように思います。環境に対する大切
さを伝えようといくら力んでも、子どもたちの心を動かすには至らなかった
ようです。この経験から、環境学習を行うには、伝えることより、いかに子
どもたちに学ばせるかが大切だと考えるようになりました。
 一昨年、江東区立東雲小学校で4年生の子どもたちと世界の水について学
習したときのことです。授業のスタートは1メートルの地球にどれだけの水が
存在するかを考えることでした。子どもたちは、想像していたよりはるかに
少ない水の量に驚き、水不足で命を落としている人々のいることにショック
を受けたようでした。
 日本や世界の水について興味をもった子どもたちは、水再生センターや
水の科学館などに出かけ、実際に見学して体験的に調べていきました。特に、
生活排水を自分の目で見、においをかぐことで、自分たちがいかに水を汚し
ているか実感し、水を大切にしなければいけないという気持ちが高まったよ
うです。
 世界の水不足の現状については、子どもたちの力で調べることはなかなか
大変でした。子ども向けのわかりやすい資料がなく、子どもたちがその現状
について理解することは難しかったようです。そんな中、元JICAの隊員
だった方を学校に招き、お話を伺うことができました。実際に、水不足の国
で生活し、水不足で苦しんだり、命を落としたりしている人たちを見てきた
方の話には迫力があり、その深刻さは、小学校4年生にも伝わったようです。
このお話がきっかけとなり、子どもたちの考えや気持ちは大きく変容しました。
 その後、子どもたちは、世界の水不足を解決するためにどうすべきかを話し
合いました。子どもたちのアイデアで、水を大切にするよう呼びかけるポスター
を作成したり、「Kids’ ISOプログラム」という電気・ガス・水道などの削減
をする取り組みをしたりしました。学校のフェスティバルでは、水の大切さを
訴える呼びかけもしました。結果的にこれらの取り組みが認められ、環境省の
エコファミリーレポートで環境大臣省をいただきました。
 この実践を通して、子どもたちが自ら学ぶ中で、専門の方と出会ったり、
実際に体験したりすることが、特に重要だと感じました。人と出会ったり体験
したりすることが、子どもたちの考えや気持ちを変え、実際にエコ活動に取り
組むことのできる子どもへと大きく変容させるのではないかと考えます。

(足立区立伊興小学校 副校長 環境カウンセラー 石田好広)