レジ袋・ゼロチャレンジ実験! 〜松下グループさんの場合〜

2008/01/28

最近、多くの企業では環境への関心が高まっています。しかし、企画を立案し実施してみたが、従業員の協力が得られず立ち消えになってしまった、というケースもあるようです。学校や地域のコミュニティでも、「まわりの人の協力が得られない」ということがさまざまな活動の障害になっていることが少なくないのではないでしょうか。

 松下グループでは「地球を愛する市民活動」(Love the Earth=LE)の一環としてエコバッグ推進運動を展開しています。従業員向けの環境啓発活動の取り組みのひとつです。スタートしたのは2002年。年々、参加者は増え活動範囲に広がりを見せています。その発展の秘訣は何でしょうか。松下グループのエコバッグ推進運動からは、企業が環境活動をするうえでの大切な事項がうっすらとにじみ出ています。

 松下グループのエコバッグ推進運動では、レジ袋・ゼロチャレンジ実験というものを毎年定期的に行っています。従業員参加型の実験で、応募したモニター世帯に松下グループ特製のオリジナルエコバッグを配り、3カ月間買い物にエコバッグを持参してレジ袋ゼロにチャレンジしてもらうものです。モニターは終了後、レジ袋使用枚数と断った回数など、アンケートに答えることになっています。初年度のアンケート提出世帯数は341世帯でしたが、2006年度は2995世帯、07年度は3323世帯と増えています。
「当社オリジナルバッグだけでなく、普段使っているマイエコバックでの参加も目立ってきた」
 この活動を推進しているのは環境本部組織戦略チームの安倍智惠さん。彼女の話しぶりからは活動の成果を実感している様子が伝わってきます。背景にはレジ袋の有料化などが話題になっていることもあるでしょう。でも、それだけではないようです。

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アンケート提出世帯数とレジ袋使用枚数

■理解者、仲間を一人ずつ増やしていく
 環境に関する活動は、担当者が一人で頑張ってもうまく行きません。いかに、みんなを引き込んで仲間を増やしていくかが大切なのは言うまでもありません。そこで、松下グループではいくつかのことをしました。
 ひとつはLE達人(*)というものを設置。エコライフを楽しんでいる人で社内基準に合った人を達人と認定する制度を設けました。
「実際に、ホームページなどで達人の技を披露することで、達人と呼ぶにふさわしい人の顔が見えるようにしました。達人を仲間にして横展開を図ろうという試みです。まだ、開始してから約1年しか経っていないのですが、すでに11名の達人が誕生しています」(安倍さん)
 LE達人とは別に、松下グループにはLE実行委員と呼ばれる人たちがいます。なかには、職場の責任者に申し出てやる気にさせて、活動をしやすくした委員もいるようです。LE達人、LE実行委員を中心に染み入るように「積極的にやってみよう」という気持ちが伝わっていきます。
 
 安倍さん自身、LE実行委員のやる気を引き出す工夫も行っています。
「モチベーションをあげようと意図したわけではありませんが、結果的に委員の活動が活発になったことがあります。それは、2007年度のときのこと。申込み数があらかじめ用意したオリジナルバッグの数を大きく上回ったのです。申し訳ないことに、希望者全員にオリジナルエコバッグを配布できない状況になってしまいました」
 通常なら、配布する数は希望者数の7割といった数字を決め、一律に配布する場合が多いものです。しかし、安倍さんは違いました。前回のアンケート回収実績をもとに、この年の配布数を決めたのです。前年度、回収率が100パーセントのグループには今回応募した全員にオリジナルエコバッグを配る。80パーセントならば、応募数の80パーセントにあたる人にエコバッグを配ったのです。事業場を取りまとめているLE実行委員としては大変です。せっかく自分のグループから応募者が出ても、実験に参加するためのオリジナルエコバッグを配れない状態になってしまうわけですから。責任感を強く持ったLE実行委員なら、次回は前年度と比べて良い結果が出るよう努力しようと思うわけですね。

■あきらめずに啓蒙し続けることが成功のカギ
 しかし、最初からうまくいっていたわけではありません。
「2002年頃は、個人的な家庭のデータを出すのはいかがなものか、という意見が強くあったと聞いています」
 しかし、あきらめることなくLE実行委員と協力し、地道に啓蒙活動を続けています。
「2007年度からは『レジ袋を断ったことで削減できたCO2排出量』をホームページに載せ、『レジ袋をもらってしまった』という意識よりも、『断って削減できた!』という達成感に目を向けてもらえるよう工夫をしました」
 活動の成果が少しでもわかりやすくなるよう、安倍さんは努力を惜しまないのです。少しずつ周りの意識も高まり、活動が活発化していきました。
「活動を通じて、いろいろ工夫をしている人も出てきました。壊れた傘の生地を使ってエコバッグを作った人もいます。また、家族で呼びかけあってエコバッグを持つようにしている家庭も多いようです」
 最初は参加者が少なかったエコバッグ推進運動。時間はかかるけれど、少しずつ仲間、理解者を増やしていくことで定着を図ることに成功したのです。

(*)LE=Love the Earth “地球を愛する”の意。

※松下グループ エコバッグ推進運動-2007年度調査結果
  更に詳しい内容はこちらから
(2008年10月1日より松下グループはパナソニックグループに変更しました。)

(取材・文 江口 陽子)