学習指導要領が変わるにあたって

2008/04/25

■およそ10年ぶりの改定、変わることと変わらないこと

 2009年4月から新しい学習指導要領に変わります。幼稚園、小学校、中学校で新教育内容がスタートします。小学校では移行措置を経て2011年から完全実施される予定です。前回の改定からおよそ10年。その間には教育基本法や学校教育法などの改正もありました。
 今回の学習指導要領では何が変わり、何が今までと同じなのでしょうか。変わらないものは「理念」です。従来から引き続き、「生きる力」をはぐくむことは大切だという理念を先頭においています。

 変わるものは何でしょうか。一つに小・中学校の授業時数の増加があります。小学校ですと、学年によりますが、年間の総授業時数が35時間~70時間増えます。6学年の合計で278時間増えることになります。
 中学生ですと、3学年合計で105時間増えます。例えば、一週間のうち、6時間授業の日が3日だったのが4日、おおむね一週間に1コマ授業が増えることになります。特に、数学や理科、理数教科の時間増加が大きいのが特徴です。
 これでは詰め込み教育に戻っただけではないか、という疑問がわいてくる方もいるかもしれません。
「授業時間は増えますが、指導内容を増やすことが主ではありません。繰り返して学ぶ反復学習や学習したことを活用する時間が増える形になります」(文科省)

■知識・技能を活用し、自ら考え判断し表現する力は変わらず大事

 一方、大幅に減ったのが総合的な学習の時間です。
「これは総合的な学習の時間が不要だということではありません。『生きる力』を育むという理念のもと、総合的な学習の時間はますます重要になってきます。時間は減りましたが、その分、各教科の時間のほうで知識・技能を活用し、自ら考え、判断し、表現する力を育むことになります」(文科省)
 そもそも、学校と保護者、社会との間で、「生きる力」の意味や必要性に対する共通理解が充分ではなかったという指摘もあります。生きる力とはどのようなものを指すのでしょうか。文部科学省の説明は以下の通りです。
〈「生きる力」とは知・徳・体のバランスの取れた力〉を指します。言い換えると、
〈変化の激しいこれからの社会を生きる子どもたちに身に付けさせたい[確かな学力]、[豊かな人間性]、「健康と体力」の3つの要素からなる力〉
この3つの力をバランスよく育てることが大切だということでしょう。今回の指導要領が変わることで、再度「生きる力」について考え、関係者間で共通理解をしていくことが必要なのかもしれません。

(文:江口陽子)