主役は子ども!「子どもエコサミット」

2008/06/25

 2008年7月7日に開催される北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の一カ月前。6月7日(土)、「子どもエコサミット」が開催されました。これは子どもたちと環境相が環境問題を話し合う会議です。
「子どもたちの環境宣言」「子どもから鴨下環境大臣へ質問」などのプログラムがありました。サミットに参加した子どもは10名。今年で4回目となる「学校自慢エコ大賞」入賞校の生徒です。開催場所である大手町サンケイプラザの壇上スクリーンには環境宣言を制作している風景が映し出されました。このサミットに向けて、事前にそれぞれが自分たちの環境宣言を考え、持ち寄って作ったものが「子ども環境宣言2008」です。
 環境宣言の監修に当たったのは、作家・評論家の宮川俊彦氏。学校自慢エコ大賞実行委員会の委員長でもあります。各学校が出した環境宣言をまとめるに当たり、多くの議論があったといいます。自然は守るものか? といったことから、タバコを吸う大人をどう思うかまで、子どもの視点で幅広いテーマについて意見が出されたといいます。
「みんな真剣でした。各学校からは先生も指導に当たってくださいました」(宮川氏)


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参加した子どもたちと宮川俊彦氏


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子どもの代表から鴨下環境大臣に手渡された



 いよいよ、子どもたちによって子ども環境宣言2008が読み上げられます。

「子ども環境宣言2008」の冒頭は次のようになりました。

〈今の大人たちに、「私たちの未来を汚さないで」と叫ぶだけではなく、私たちは日本の、そして、地球の未来を切り開く中心の存在、との自覚のもとに、次の通り宣言します。〉

この後、6つの項目が並びます。
 代表者が環境大臣 鴨下一郎氏に手渡しました。鴨下大臣は子ども環境宣言の〈「私たちの未来を汚さないで」と叫ぶだけではなく、〉という部分が印象に残ったと述べます。
「環境問題は大人の責任でもありますが、日々の生活の中で子どもも豊かさを享受している分、何らかの環境に関係あります。みなさんはそのことを良くわかっています。子どもたちも大人のせいにしている場合ではないのです。この子ども環境宣言は、とても価値のある宣言だと思います。私達も頑張るけれど、小中学生も自分のことだと思って頑張って欲しい」
 このように、子どもたちに伝えました。

 冒頭に続く6つの項目では、自分達が何をしたら良いのか具体的なことが宣言されています。2番目は、〈個人や集団や地域や国のエゴを超えて、母なる星「地球」を主語とした、よりよい環境の創出のために、世界の子どもたちと手を取り合い、着実な成果を積み上げていきます〉となっています。

 「子ども環境宣言2008」の監修者である宮川氏は主語が「地球」であることの意味をこう解説します。
「主語が『私』のときは、子どもたちは問題を追及しやすいこともあり、多くを語ります。でも、主語が『地球』になると、そうは行かない。主語が『地球』のように大きくなると、誰からも文句を言われないきれいごとに転化させようとしてしまうものです」(宮川氏)
 子ども環境宣言では、あえて “「地球」を主語”にという言葉にしたといいます。「私」というラクな選択肢をとらなかったのです。この主語「地球」のところに、子どもたちの真剣に取り組もうとする姿勢が現れているように思えます。


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子ども達が作り上げた「子ども環境宣言2008」(クリックすると画像が拡大します)



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「子ども環境宣言2008」の感想を述べる大臣


「子どもエコサミット」の最後は、質疑応答。緑のこと、太陽エネルギーのことなど、しっかりと環境のことを考えているからこそ、出てくる質問が出されました。
 その中の一つに次のような物がありました。
「CO2を減らす目標が6%だと聞いています。それはどのくらいの量なのか、わかりやすく教えてください」
 子どもの質問に大臣はしっかりと答えます。
「日本が京都議定書で世界に約束したことは、1990年から炭酸ガスを6%減らす、ということです。日本の全体で炭酸ガスは13億トン出しています。日本の人口は1億2千万から1億3千万人の間ですから、一人10トン、出している計算になります。工場やオフィスなど、産業で出している分もあります。一人が生活の中で出している量を概算すると、6キログラム毎日出していることになります。これは石炭を2.5キログラム、燃したのと同じくらいの量になります。一日6キログラム出しているのを、これを1キログラム減らして5キログラムにしてくださいというのが環境省のお願いです。少しの工夫でいいのです。例えば、頭を洗うとき、シャワーの水を出しっ放しにしないとか、そのようなことで減らしていくことが大切です」

 参加した5校、全部から一つずつ質問が出されました。大臣の答えに子どもたちは耳を傾けています。まなざしは真剣。大臣の子どもたちに伝えた一言が印象的でした。
「一度壊した自然を取り戻すのは100年も200年もかかります。最初から壊さないで、自然と調和しながら生きることがいいと思います。みんなも協力していただければと思います」

 後半はシンポジウム。出演者は衆議院議員の小池百合子氏、精神科医和田秀樹氏、など5名。環境、教育などについて意見が出されました。
 出演者の一人、環境コンサルタントのペオ・エクベリ氏はスウェーデン出身。母国では4歳から環境教育を取り入れているといいます。子どもに対する教育のほか、親、先生に対しての教育にも力を入れているようです。この点がやや日本とは違う点なのかもしれません。日本で親に対する教育を実施するには多くの議論が必要でしょう。すぐには実施できないことかもしれませんが、今後の教育の一つとしてスウェーデンの事例は参考になるでしょう。

(取材・文 江口 陽子)