日本発の社会貢献がアフリカに届いた日

2008/07/29

「全世界の人口、60億人のうち、10億人が飢えに喘ぐ一方で、10億人が飽食、肥満など食に起因する生活習慣病に苦しんでいます」
 地球という同じ世界に住んでいながら、一方には食べるものがなく、別のところには捨てるほどある。これはおかしなことです、と語るのはTABLE FOR TWO(テーブル・フォー・ツー)の事務局長 小暮真久氏です。TABLE FOR TWOは食の不均衡を解消するために創設されたNPO(特定非営利活動法人)です。

 TABLE FOR TWOは“二人の食卓”という名の通り、1つの食卓を囲んで先進国の参加者と、開発途上国の子どもが、時間と空間を越えて一緒に食事をする仕組みになっています。具体的にいうと、参加企業の社員食堂やレストランで、指定のヘルシーメニューを食すると、1食につき20円がTABLE FOR TWOに寄付されるようになっています。この20円というのは開発途上国の給食1食分の金額です。

 TABLE FOR TWOは参加者の一人ひとりにも幸せが届く点に特徴があります。ポイントとなるのは、「ヘルシーメニュー」。これはガイドラインにそって作られた、低カロリーで良好な栄養バランスのメニューです。社員食堂のどのメニューでも良いわけではなく、このヘルシーメニューを食することで活動に参加できます。
メリットとして、参加者は低カロリーの食事を摂ることになり、メタボリックシンドロームの対策にもなるのです。TABLE FOR TWOがヘルシーメニューにこだわるのは、寄付する側にも幸せを届けたいという願いからきています。また、企業にとっても、従業員のメタボリック対策ができるという効果が期待できます。一方的な寄付ではなく、参加者全員がハッピーになる。これがTABLE FOR TWOの考え方です。

理事・事務局長 小暮真久氏
理事・事務局長 小暮真久氏

「食事は誰でもが毎日行うものです。TABLE FOR TWOは特別な知識もスキルもいりません。選んで食べていただければ社会貢献になるのです。参加企業様からは、誰でもが気軽に参加できる点が良いというご感想をいただきました」(小暮氏、以下同氏)
現在では、アサヒビール、積水化学グループ、東京海上日動、伊藤忠商事などの大手企業が参加しています。そのほか、最近では外務省や経済産業省などの省庁や横浜市といった地方自治体。そのほか、大学などの参加もあります。

2008年6月、小暮氏は現地の給食の状況を確かめに、1週間ほどウガンダに行きました。当日、学校には水や薪を持参した保護者が到着しました。早速給食作りに取りかかります。メニューは「ポーショ」というトウモロコシの粉を練って作ったお餅のようなもの。野菜や豆の入ったスープをかけて食べるそうです。日本では馴染みのないメニューですが、トウモロコシの香りが漂う、現地では親しまれているものだといわれています。
「給食は思っていた以上に現地の人に喜ばれているようです」
 小暮氏は給食により良い循環ができたと顔をほころばせます。
 国を栄えさせるためには、子どもたちが勉強し、学ぶことがひとつの条件になります。座学による学術的な知識を始め、生活に役立つ農業や食べ物に関することまで、さまざまな知識を学ぶことが大切です。貧困から脱出するには、子どもたちに対する教育が必要なのです。一方で、子どもは家族の貴重な労働力のため、普段では学校に通わせてもらえない子供もいます。そんな中、学校に行けば給食があり、子どもたちはお腹いっぱいご飯が食べられる。それならば、親も学校に行かせようという気持ちになります。
「現地の教師の話では、学校給食が始まってから咳をする子が減ったといいます。基礎体力も上がっているようです。お腹がすいていたら勉強もできないけれど、給食で食欲が満たされているから学ぶ意欲も出るのです。それに、給食があるので、午後にも授業ができます。おかげで、子どもたちの学力も向上したようです。私はTABLE FOR TWOの活動を通じて、日本から多くの子どもたちを支えていることを誇りに思っています」

 「ポーショ」。ひとりずつ、お皿に分けます。
「ポーショ」。ひとりずつ、お皿に分けます。

 給食風景  給食風景。
給食風景

 世の中には、社員食堂を持たない会社もあります。それでも活動に参加することは可能です。TABLE FOR TWOのコンセプトに賛同した人の中には、食事以外の支援をしている人もいます。例えば、TABLE FOR TWOのWebサイト。こちらは香港の一流IT企業が制作したものです。
「TABLE FOR TWOに理解を示したWeb制作会社の人たちが、ぜひとも協力したいということでWebサイトを制作してくださいました」
そのほか、アメリカからの支援もありました。現在、アメリカで組織を立上げ、秋口から試験実施を開始する予定です。組織を立ち上げるにあたり、協力者がいました。
「日本にいると、現地の勝手はよくわかりません。ある弁護士事務所はニューヨークと東京に拠点があります。そこの弁護士のご厚意で、申請の書類づくりや手続きなどをしてもらいました。ニューヨークとは時差があるので、夜に電話でやり取りをしたこともあります。TABLE FOR TWOは皆様に支えてもらっています。ありがたいと思っています」

 これまで、社会貢献というと、海外発の物を日本で取り入れているケースが多くありました。TABLE FOR TWOは“日本発”の社会活動です。世界中に運動を広げ、世界の食糧問題を解決に貢献したいと小暮氏は語ります。

(取材・文 江口 陽子)