カーボン・オフセットという選択肢

2008/08/25

 普段、私たちの生活では買い物や家族旅行、出張など、さまざまな場面で温室効果ガスを排出します。これらの中には、省エネなどの努力をしても、排出を避けられないものがあります。自分の排出した温室効果ガスを差し引きゼロにしたい、と願う人は少なくありません。

「カーボン・オフセット」という言葉をご存知でしょうか。これは二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を抑制、相殺する取り組みを指します。日本でも、従来から商社などが排出権を取り扱っています。しかし、どれも個人でたやすく参加できるものではなく、日本にとってカーボン・オフセットとは、馴染みのないものになっていたともいえます。
2007年7月、日本カーボンオフセットが設立され、企業や個人に対するオフセットプログラムが提供されるようになりました。日本カーボンオフセットは、いわばプロバイダーのような役割を担い、CO2オフセット付き商品やサービスなどを提案、提供しています。

カーボン・オフセットを実施する場合、何種類かの方法があります。日本カーボンオフセットの方法は、京都議定書で定められた「クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism、CDM)」を利用して実行します。これは現在、先進国の温室効果ガス削減の事業の中には、開発途上国に技術や資金などの支援をして実行しているものがあります。このプロジェクトで削減できた温室効果ガス排出量の一部を支援元の国の削減分として充当しましょうというのがCDMの制度です。

■申込はネットから簡単操作

日本カーボンオフセットでは具体的に次のように説明しています。
「私たちは国連が認定した温室効果ガス削減プロジェクトからCO2排出権を取得します。ブラジルの水力発電のプロジェクトなどをはじめとして、複数のプロジェクトを対象としています。排出権を我々が購入して、私たちの会員となっている個人の方、企業様にオフセットつきの商品やサービスを提供しています」(日本カーボンオフセット 広報、以下同)
 日本カーボンオフセットを通じて、排出権を取得した後は日本政府の口座に移転されます。そして、この移転されたものが京都議定書のCO2削減目標の数値に算入するようになっています。支払ったオフセット料金が京都議定書のCO2削減に貢献できる仕組みです。

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CO2排出量を計算する画面
※画像をクリックすると拡大します。


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計算結果表示画面
※画像をクリックすると拡大します。

 個人の場合、日本カーボンオフセットのホームページから申し込めます。ホームページに用意された生活CO2の計算のページで、自身のCO2排出量を計算。結果を参考にして、金額を決めることができます。
「まずはCO2、1トン分、4800円から始めてみましょう、とおっしゃる方が多いですね。もちろん、生活CO2を計算されて、ご自身が排出している量の相当額を購入する人もいらっしゃいます」

 カーボン・オフセットをするということは、まずは省エネの努力をするということが大前提にあると、日本カーボンオフセットは強調します。
「安易に計算した分のお金を払って打ち消せばいいや、というものではありません。それぞれがライフスタイルに合わせて、省エネの努力をしていただいて、それでも排出してしまう分について、オフセットをするという考え方が基本にあります」
 お金を払うことで満足し、温室効果ガスの排出量が増えてしまっては本末転倒だということを忘れてはいけません。

■カーボン・オフセットに対する理解の広がり

 日本カーボンオフセットによると、登録会員は増加しているといいます。参加者は7月末で、累積 27万9101トン、162人のオフセットの申込みがあったといいます。中には、大きなシンポジウムを開くので、設備の電気や参加者の交通手段、距離などをもとにCO2排出量を計算してオフセットしたというケースもあったそうです。

 法人会員は積水化学工業株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、日本興亜損害保険株式会社、イオン株式会社、三菱UFJ信託銀行株式会社など、8月21日現在で77社となった。

「設立当初はカーボンオフセットについて、なかなか御理解いただけませんでした。しかし、7月の洞爺湖サミットに向けて、オフセットの記事が新聞などで取り上げられるようになり、皆さまの認知度が高まってきたと思います」
 参加する企業からは、社員にどこまで理解してもらえるのか、不安に思う声もあったといいます。徐々に一般の人にも理解してもらえるようになった現状があるようです。
「コミュニケーション活動を強化していく中で、もっと御理解いただけるようにしていきたいでね」

(取材・文 江口陽子)