牛糞からできる温暖化対策

2008/09/26

 エコ燃料として、今注目を集めているものにバイオガスがあります。地球温暖化対策の京都議定書目標達成計画でも、バイオガスは新エネルギーとして触れられています。地域のバイオマス資源などを効率的に地産地消し、地域全体で省CO2化を目指すことが温暖化対策にもなるのではないかといわれています。

 バイオガスとはどのようなものなのでしょうか? 日本国内にも、北海道や九州にはすでにバイオマス資源を地産地消している地域が現れ始めています。事業に携わっているのは今年(2008年)の1月に設立された会社、バイオガス・ネット・ジャパン。バイオガスの回収や精製、運搬供給システムの確立に向けて事業を展開しています。

「バイオガスの主な成分は都市ガスと同じメタンガスです。バイオガスはボイラや発電機の燃料として使うことができます。原材料は牛糞や下水汚泥、そのほか焼酎かすなどの食品工場で出される廃棄物などがあります。バイオ燃料のバイオエタノールはとうもろこしなどの食品を原材料にしています。食品は価格高騰の可能性があります。が、バイオガスはもともと排水、廃棄物など、バイオガスにならなければ処分するものを原材料にしています。原材料の価格が高騰しにくい点がバイオエタノールなどと異なります」(バイオガス・ネット・ジャパン)

 ガスを作り出すには、原材料をバイオガスプラントの中に入れて、空気を遮断します。この状態の中、微生物が働くことで、メタンガスが出るといいます。しかし、このとき出されるガスにはメタン濃度は60%と低く、硫化水素や二酸化炭素などの不純物が含まれてしまいます。これでは熱量が足らず、バイオガス専用のボイラや発電機なら動きますが、一般のものだと動かない。使い勝手が悪いのです。
 そこで登場したのが精製装置。不純物を取り除いて、精製することでメタンの濃度が高くなります。現在ではおよそ90%の濃度のメタンになるよう精製できるようになりました。これならば、今ある都市ガスと同じように燃料として利用できます。

boiler22.jpg バイオガスボイラ(写真提供:バイオガス・ネット・ジャパン)

■課題は多いが未来の燃料として期待

 今、鹿児島県垂水市ではバイオガス・ネット・ジャパンのチームが垂水市の民家に提供するための提案を始めています。すでに、養豚農家から出た豚糞を原料にバイオガスを発生させ、これを精製しボンベに詰めて販売。垂水市の土産物屋で燃料として使われているといいます。垂水市で発生した豚糞を、垂水市でバイオガスに変え、垂水市で消費する。地産地消が成り立っています。

 また、神戸市の下水処理場から出たバイオガスが神戸市の市バスの燃料として実現しています。北海道にも事例があります。恵庭市内の株式会社アレフのハンバーグ工場、「びっくりドンキー」ではバイオガスが使われています。原料は千歳市内の酪農家から出た牛糞です。まだ、実証実験段階ですが、今後は安全性の確保や輸送コストの低減を図れば、さらに利用者が増えていくことでしょう。

「目指すところは、たくさんのご家庭で使ってもらうことです。バイオガスは有機性廃棄物を原料にしていますので、二酸化炭素の発生は計算上なし。バイオガスはカーボンフリーだといわれています。バイオガスを利用することによって、二酸化炭素の発生を抑えられる可能性も高いので、環境にいいガスだといえます。多くの家庭で使われるようになれば、温暖化対策にもなるでしょう」(バイオガス・ネット・ジャパン)

 今のところコストも高く、バイオガスを使うことのメリットが前面に出ていません。都市ガスやプロパンガスなどと同じくらいの価格に落とすには、輸送などのいくつかの課題があります。安全性の確保もさらに高めていかなければなりません。まだまだ、課題は多いのですが、これらがクリアになれば、これまでのエネルギーの代替としてバイオガスが活躍する可能性は高いのです。バイオガスに対する期待はさらに大きくなっていくことでしょう。

(取材・文 江口 陽子)