環境教育の教材として書籍を利用するには
~環境教育の指導者養成研修の模様~

2009/01/30

 未来図書室では、未来図書室の書籍を学校に無料で貸し出しております。2008年秋、未来図書室はある集まりに『水ものがたり』『気候変動+2℃』など、5冊の書籍を貸し出しました。そこに集まったのは、全国の環境教育を推進する先生たち。集まりの目的は研修。そこでは環境教育を推進する際に、必要となる知識を習得するとともに、活発な議論が繰り広げられました。研修とはどのようなものだったのでしょうか。未来図書室の書籍が活用された環境教育指導者養成研修の様子をレポートします。

「研修は指導者養成を目的としているので、知識を学ぶということと、学んだことを現場で伝える、この二つを柱としています」
 このように語るのは、環境教育養成講座のコーディネーターを努める長崎県立西陵高等学校 藤 修先生です。

 研修では、環境教育の現状や環境問題について学ぶ「理論」と、現場で伝えることを中心におく「フィールドワーク」「ワークショップ」のパートに分かれます。その中で、未来図書室の書籍が活用されたのは、「ワークショップ」の部分でした。具体的にどのようなワークショップだったのでしょうか。藤先生がファシリテーターを務めた高校教員による分科会について紹介しましょう。


■未来図書室の書籍を授業で活用するには

 使用したテキストは『水ものがたり』『いきものがたり』『気候変動+2℃』『1秒の世界』『世界を変えるお金の使い方』(ダイヤモンド社)の5冊。分科会のねらいは、これらの書籍をどのようにして授業に活用していくのかというのが一つとしてあります。具体的には、最初に「講義」という形で、書籍を教材として利用する方法の提案が主催者側からありました。具体的な提案は次のようなものになります。

 『水ものがたり』では、書籍の中にある「水の旅」のイラストのページを利用しました。ここには「水の循環」について書かれています。参加した先生方は水がどのようなところに存在するかを話し合いました。次に、アメリカの環境プログラム・プロジェクトウェット(PW)の「水の旅」を実施。これは自分自身が一滴の水となって進むスゴロクのようなものです。サイコロを振りながら指示された水のある場所(スゴロクのマスのようなもの)に移動をしていくゲームです。書籍とゲームを組み合わせるとこで、水の循環をより深く理解することができるようになっています。

 『気候変動+2℃』では、参加者がテキストである本に目を通し、感想を述べ合いました。この本には、気候が2℃上がったらどうなるのかが書かれています。しかし、生徒たちにとっては、地球全体の話というのでは規模が大きすぎて、イメージが湧きにくいものです。そこで、100cmの風船を膨らまし、陸地をマジックで書き込み地球に見立てました。そうすることで、『気候変動+2℃』で取り上げた「地球規模の変動」を実感できると考えたのでした。


風船に陸地を書き込む
風船に陸地を書き込む


模造紙にまとめる
模造紙にまとめる


教材としての書籍
教材としての書籍


■活発な意見が次々と

 講義が終わった後は、さらに実践に近づくための「展開」です。ここでは、参加者がテキストの中から3冊を選んで、授業でどのように活用できるかなどを話し合いました。グループごとに、模造紙いっぱいに図や表を描いてまとめました。
 中でも、『水ものがたり』は授業に使うテキストとしてよくできていると好評だったといいます。小学校の先生から「どこで手に入れられますか」という質問が多数あったそうです。また、参考文献のページには資料集や学術書としてのデータも載っているので、調べ学習に利用できる。このような利用方法の提案を藤先生は紹介してくださいました。
 『気候変動+2℃』も授業用のテキストとして大いに活用できそうです。この本は温度が高くなるとともに地球がどう変わっていくのか、その様子が描かれています。授業での活用方法として、スキャナーで読み取ったものを一枚ずつプロジェクターなどに映し出す、といった提案も出ました。クラスの生徒たち全員で同じ画像を見ることで、より気候変動による地球の変化をリアルに感じられることでしょう。

「今後、現場でさまざまな形で使われていくと思います」
 このように語る藤先生は、すでに調べ学習として、『世界を変えるお金の使い方』を使いました。この本は100円で何ができるかが書かれています。たとえば、次のような項目があります。
〈100円で/耳の不自由な人の代わりに/音を聞き分け、/生活に必要な補助をする/盲導犬の、音の訓練1日分/のごほうびがまかなえます。〉
それぞれの項目には、「あなたのアクションの入り口」として、関連するウェブサイトのURLが載っています。藤先生の授業で、生徒はこのURLを頼りに、さらに深く調べていったといいます。

 アイデア次第で、書籍の使い方はたくさん広がります。本を単体でテキストとして利用できますが、ゲームや風船などのグッズを併用すると、生徒たちの興味がさらに上がることもあるでしょう。


▽未来図書室では、書籍を授業で活用していただける学校に、1クラス分を無料で貸し出します。ぜひ、お役立てください。詳細はこちら
http://mirai-tosyositu.jp/support/rental/index.html

(取材・文 江口 陽子)