地球温暖化発見大賞: 選者のことば

「気候変動 +2℃」がきっかけとなって、このような賞ができ、若い世代が地球環境に関して真剣に考える機会が日本全体に広がったことは、まことにうれしいかぎりです。
気候変動に代表される地球環境問題は、21世紀の人たちが挑戦せねばならない大きな課題ですが、その取り組みにあたっては、問題の性質をひろく理解し、解決のための手立てを用意しておかねばなりません。環境問題を考えるときの鍵は、「つながり」という言葉であらわされます。

第一のつながりは、人間と自然の間にあります。その間のコミュニケーションはどうやりますか。自然は言葉では語りかけてきません。しかし確実に人間の行動に反応し、変化します。人間はとかく人間仲間内のことだけに目が行き、自然からのものいわない警告を見逃し勝ちです。いつも自然を見ている人たちは、自然のささやきを感じることが出来ます。そして、それをほかの人にもはっきりわからせるために、きちんとしたデータをとって分析します。これが科学者の仕事です。

第二のつながりは、世界の人とのつながりです。今みんなの目の前で起こっていることは、自分たちだけの出来事ではなく、隣の町や遠くの国のこととつながっているのです。自分たちの目の前のことだけでなく、いろんな場所で起こっていることを集めてみると、全体で共通に何が起きているのかがわかります。また、一人ひとりの行動ではたいしたことが出来ないなと思っていることでも、他の地域の人が同じように行動すればそれが大きな力となって、環境をよくしてゆきます。

第三のつながりは、生命の受け継ぎです。今の自分は父母からの生を受けています。父母は更に祖父母に育てられました。今度は自分たちが次の世代に生命を受け継がねばなりません。そのためにも次ぎの世代が今と同じく暮らしていける環境を残していかねばなりません。

日本の人たちも世界の人たちも、それぞれの場所でそれぞれのやり方で気候の恵みを受けて生活しています。いまはみんながその安定した気候のおかげをこうむっているのですが、その恵みは普段はなかなか見えにくいものです。気候が変化してはじめてその恵みが実感できるのかもしれません。温暖化をテーマにして自然の変化を観察することは、自然の恵みを知るひとつのよいステップです。

温暖化発見大賞はまた、こうした三つのつながりを若い世代が考えるための、いいきっかけを作っています。多くの学校でみんなが協力して、あるいは一人でがんばって研究し、報告してくれました。自然をいつくしみ観察する楽しみ、みんなが協力することの喜び、そして命の大切さを多くの人が考え、環境を守るために一人ひとり何か出来ることをやっていこうと約束をしてくれています。応募してくださった皆様、そしてそれを応援してくださった方々に心からお礼申し上げます。